今回は、死後事務委任契約のお手続きの流れと費用について解説していきます。

死後事務委任契約の流れ
1.委任内容を決め見積もりを確認する

 はじめに、委託先となる事業者に相談して、依頼する死後事務の内容を決定します
 内容に過不足のない死後事務委任契約を結ぶためには「死後事務委任契約で実現したいこと」を明確にする必要があります。

 死後事務委任契約で出来ることの範囲内で委任内容を検討し、出来ないことは遺言など他の方法も合わせて検討しましょう。

 委任内容が定まっていない場合は、事業者に相談しながら決定していくのが良いでしょう。
 その場合も、手続きの希望を可能な限り詳細に伝えることがポイントです。
 あなたの意図をきちんと反映した契約内容で、正確な見積もりを作るためです。
 事業者としっかり打合せましょう。

2.手続きに必要なものを揃える

 死後事務について委任する内容が決まったら、それらを記載した契約書を作成する必要があります。
 また事業者に依頼する際は、公正証書にするのが一般的です。

 公正証書化する際には次のいずれかが必要になります。

  • 実印+印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
  • 認印+顔写真付きのマイナンバーカード
  • 認印+自動車運転免許証
  • 認印+顔写真付きの住民基本台帳カード

 上記の必要書類をあらかじめ準備しておくことで、公正証書化手続きがよりスムーズに進みます。

3.契約書を作成し公正証書にする

 必要書類などが揃ったら、死後事務委任契約書を作成し、公証役場で公正証書化します。

 公正証書化しなくても契約は有効ですが、契約の信頼性の担保に重きをおくなら公正証書化は不可欠です。
 また、公正証書化しておけば、例え契約書を紛失したとしても公証役場で再発行することが出来るというメリットもあります。

 契約締結にあたっては、内容決定や契約書作成などの全てを事業者に任せきりにしてはいけません。
 預託金を支払ったことや、報酬が明確に記載されているかといった重要な部分を自分の目で確認しながら契約手続きを進めてください。

 依頼する葬儀社の名前や、死後に解約してほしいデジタルサービスの名称といった死後事務の履行に欠かせない具体的な情報がしっかりと契約書に盛り込まれていることも忘れずに確認するようにしましょう。

死後事務委任契約に必要な費用・預託金

 死後事務委任契約にかかる費用は、誰にどこまで頼むかで変わります。
 おおよその相場感は下記の通りです。

死後事務委任契約書の作成料(目安10万円)

 契約書は、委任者の意向を反映したものを作成しなければなりません。
 専門家に作成を依頼すれば、意向に沿った契約書を作成できます。
 専門家に依頼する場合、目安として30万円前後かかります。

・死後事務委任の報酬(目安50~100万円)

 死後に葬儀や納骨・永代供養などの手続きを委任する際の費用です。
 死後事務には多くの選択肢があり、どの事務や手続きを依頼するかによって費用が変わります。
 費用の目安は50万円~100万円程です。

・公証役場の手数料(1万1,000円)

 死後事務委任契約書を公証役場で作成した場合、公証人に対し手数料として1万1,000円支払います。

・預託金(金額はケースバイケース)

 預託金とは、死後事務を行う際に発生する費用の概算を生前に見積もっておいて、受任者に対してあらかじめ預けておくお金のことを言います。
 預託金があれば、亡くなった際にすぐ必要になる費用を受任者が肩代わりする必要がないため、契約内容をスムーズに実行させることが可能です。

 葬儀費用や納骨費用、遺品の整理や医療費・介護費の支払いなど、依頼する死後事務や内容によって預託金の目安も変わります。