【遺言書はなぜ必要?|行政書士がやさしく解説する正しい作り方と注意点】
いわま行政書士事務所(桶川市)
遺言書は、自分が亡くなった後の財産や想いを、家族にはっきりと伝えるための大切な書類です。「まだ早い」「財産が少ないから必要ない」と思われがちですが、実際には、財産の多い・少ないに関わらず、遺言書があるかないかで家族の負担は大きく変わります。この記事では、2025年現在の民法に基づいて、遺言書の基本的な種類と、よくある失敗を避けるためのポイントをやさしく解説します。
■ 遺言書の種類は大きく分けて3つ
日本の民法では、次の3つの遺言書がよく使われています。いずれも法律で定められた方式があり、正しく作らないと効力が認められないことがあります。
① 自筆証書遺言(最も一般的)
遺言の全文を自筆で書き、日付・氏名を書き、押印する方式です。財産目録のみ、パソコンで作ったり、通帳コピーを添付したりできますが、その場合は各ページに署名と押印が必要です。手軽に作れる一方、内容や形式の不備による失効が非常に多く見られます。
② 公正証書遺言(もっとも確実)
公証役場で公証人が作成する遺言書です。2名の証人が必要ですが、内容の不備が起こりにくく、原本は公証役場で保管されるため紛失の心配もありません。相続手続きがもっともスムーズになるため、多くの専門家が推奨する方式です。
③ 法務局で保管する自筆証書遺言
自筆証書遺言を法務局に預ける制度です。家庭裁判所の検認が不要になり、紛失・改ざんのリスクを抑えることができます。自筆で書きたいが確実性も確保したい人に向いています。
■ あいまいな書き方はトラブルのもと
遺言書で最も多いトラブルは、「財産の特定があいまい」という点です。よくある例を紹介します。
【例①】口座の特定が不十分
誤った書き方:「銀行の預金は長男に相続させる」
どの銀行なのか、どの口座なのかが分からず、相続人同士で争いになる可能性があります。
正しい書き方:
「ゆうちょ銀行 記号12345 番号6789012 通常貯金口座の預金全額を長男○○に相続させる」
このように、口座番号・名義を明確に書くことが大切です。
【例②】不動産の記載が雑
誤った書き方:「自宅の土地家屋は妻にあげる」
不動産は必ず、登記簿謄本のとおりに、所在地・地番・家屋番号などを正確に記載します。
正しい書き方(要点):
- 所在地
- 地番
- 地目
- 地積
- 家屋番号
- 構造・床面積
不動産の情報は登記簿謄本を取れば必ず確認できます。
■ 「付言事項」が家族の気持ちをまとめる
遺言書には、法律上の効果はないものの「付言事項(ふげんじこう)」として、家族へのメッセージを書けます。
例えば、
「妻の生活を守るため、自宅は妻に相続させます。子どもたちもお互いに助け合ってほしいと願っています。」
といったメッセージは、相続人の心を和らげ、争いを防ぐ大きな力になります。
逆に、
「長男には不満があるため相続分を減らした」
など、感情的な表現は不要な対立を生み、書かない方が安全です。
■ 実際のご相談例
ここでは、実際の相談内容をもとにした架空事例を紹介します。
【事例】夫婦+子ども2人の家庭
夫が遺言書を残さず亡くなり、自宅を誰が相続するかで子ども同士が対立。
結果として、法定相続分である「妻1/2」「子ども2人各1/4」で進めざるを得ず、話し合いが長期化しました。
しかし、夫が生前に次のような公正証書遺言を作っていれば状況は違いました。
- 自宅は妻に相続させる
- 預金は子ども2人に均等に相続させる
- 付言事項として、
「お母さんの生活のために自宅を任せます。子どもたちにはいつも感謝しています。」
このように具体的な遺言があるだけで、相続手続きは驚くほどスムーズになります。
■ 遺言書は一度作れば終わり…ではない
家族構成や財産状況は変化します。
引越し・不動産の売却・新しい銀行口座の開設などがあった際には、遺言書の見直しが必要です。
古い記載のままだと、相続手続きが滞る原因になります。
■ まとめ:遺言書は家族への「最後のプレゼント」
遺言書は、自分の財産をどう分けるかだけでなく、家族への思いやりを形にするものです。
正しく作ることで、家族の負担を大幅に減らし、争いを未然に防ぐことができます。
桶川市・上尾市・川島町・久喜市・北本市・鴻巣市や周辺地域で遺言書作成をご検討の方は、
いわま行政書士事務所(行政書士 岩間健太郎) までお気軽にご相談ください。


